その1.「リレー読書日記」

晩鮭亭さんが1月13日の日記で書いてらっしゃるように、「週刊現代」2008年1月26日号の原武史さんの「リレー読書日記」には、私が出てくる。面白そうだと思って――正確にいえば、原さんに会ってみたかったのだ*1――取材に同行させてもらった。
朝9時45分に西武池袋線池袋駅地上口改札に集合、下り急行電車に乗車、所沢で乗り換え、飯能駅*2まで。駅前で、近くの立ち食い蕎麦屋の話などをして、バスを待つ。バスに乗り、展覧山下へ。バスに乗っているときは、「なんだ、よくある地方のまちみたいじゃないか」と思っていた*3が、バスを降り、しばらく歩くと、ちょっと驚いた。東京のターミナル駅から何十分かの土地に、こういう光景が広がっていたなんて。何より驚いたのは、路地裏だ。こういう路地が残っているとは*4。私がキョロキョロしているうちに、原さんはずんずん歩く。それでいて、ちょっとした光景を見逃していない。
昼時になって、「●●●」*5で、肉つゆうどん。これが、実に、うまし! 長野や秩父のソバがうまいとは思っていたけれど、まさか飯能のうどんもうまいとは。冗談抜きで、ここのうどんを食うためだけでも、飯能に行ってもいいくらい。ちなみに、飯能には、あの宮脇書店もありました。その後も、飯能をぶらっと。再び電車に乗り、別の或るところも取材した*6のち、再び、飯能へ戻った。

週刊現代」の「リレー読書日記」、これまで何度か書いたかもしれないが、私以外の3人は、スゴイ方ばかりだ。『滝沢コミューン1974』の原武史さん、そして直木賞を受賞した『私の男』桜庭一樹さん、それから『天平名所図会』の山之口洋さんと、そのジャンル内でも、いや、ジャンルの垣根を取っ払っても、素晴らしい作品を世に送り出している。それに較べて私は……*7
これから一ヶ月は、文章について、勉強しようと、先に挙げた本を買った。

*1:「鉄道ひとつばなし」の、つまり、鉄ちゃんだけが喜びそうな文章(実際、確かに喜ぶ、マニアもいることはいる)ではなく、鉄道を通して、近現代の日本を論じた、きわめて質の高いコラムの、書き手である(しかも、そのコラム連載を、講談社のPR誌「本」で10年以上も続けているのだ!)。私は鉄ちゃんではないけれども、宮脇俊三『時刻表2万キロ』や『時刻表昭和史』、『最長片道切符の旅』を愛読している(何冊手元にあってもいいと(実際、2冊ずつぐらい持っている)と同じくらいか、それ以上に、「鉄道ひとつばなし」を愛読している(ヘンな言い方に聞こえるかもしれないけれども、とにかくそれぐらい愛読している)。

*2:原さんが書いてらっしゃるように、飯能駅は、「途中駅なのに」(中略。この理由は、雑誌で確認してね)「終着駅に見える」。ヨーロッパには多いらしいというこの形式、鉄ちゃんではなくても、興奮する。経験上(大した経験はないが)、この手の駅がある街には、何かあるのである。

*3:実際、そういう光景をみたことがある。たとえば、成田山など昔は(から)栄えていた観光地で

*4:木村聡『赤線跡を歩く【完結篇】』には、昭和30年発行のある案内板が再録されていたが、看板建築をはじめとして、いまでも、このようなの路地裏が残っているのは、赤線(やその周辺)跡だからだろうか。

*5:詳しくは「週現代」で。飯能駅から歩くと10分くらいかかるせいだろうか、「知る人ぞ知る」店

*6:そのことは、当分、3人だけの秘密

*7:この言い方は、鹿島茂いうとことの「ドーダ芸」の一種か