「週刊朝日」、中間小説誌3冊

出勤前、書店で

『週刊朝日が報じた昭和の大事件』朝日新聞社 580円

週刊朝日85周年記念増刊」。創刊70周年のときに出した『週刊朝日の昭和史』全5巻に比べると、はるかに見劣りするし、「昭和の」わりには阪神大震災やオウムも取り上げているけれども、<原則、掲載時のまま><誌面の再掲載>をしたということだけでも十分素晴らしい。
また、亀和田武×酒井順子「対談 85年分の「週刊朝日」」もあり。が、これ、ちょっと物足りない(ページ数の関係でこうなったのだろうか?)。85年分の「週刊朝日」をめぐる対談なら、過去に「週刊朝日」のバックナンバーを買った、あの人と亀和田さんにやってほしかった。*1
…などと思うところがなくはないが、これで580円なら十分買い! だって、いまの「週刊朝日」の2冊分より安いんですから。*2

小説新潮」2007年3月号 特集「エロスの早春賦」

メインの特集よりも、第二特集「素晴らしき哉、鉄道旅行!」が目あて。「小説新潮」の鉄道特集、春の恒例企画になった感がある。
ただ、今回はこの3本のみ。あと、2、3本記事が欲しいところ。

酒井順子秘境駅の女「鉄子の旅」同乗記」
宮脇灯子「父・宮脇俊三の愛した餘部鉄橋
櫻井寛「厳選! 全国傑作駅弁番付」

駅弁だけじゃなくて、駅の立ち食いソバもやってくれ。

「オール読物」2007年3月号
小説現代」2007年3月号 特集「10分間で読める超短編官能小説全12編」

これも、メイン特集がというわけではない(ただ、桜庭一樹中村文則岩井志麻子、青山真司、鹿島茂、小嵐九八郎のは読むと思う……って、これだけでも十分買う理由になるね…)。
「オール読物」「小説新潮」「小説現代」は、買うかどうかは別にして、毎号いちおう目を通してはいる。小説はほとんど読まない、雑文や対談が目あて。この手の中間小説誌に掲載される雑文や対談は、単行本化などの二次使用されることはまずない*3、面白いものが結構あるから。


そういう雑文に強いのは「オール読物」。「オール読物」というだけあって、小説以外の企画もいい(小説はベテラン勢ばかりが揃っていて、私のような若い読者にはとっつきにくい)。今月号でいえば、阿部牧郎×団鬼六×永田守弘「四苦八苦の官能表現」、半藤一利vs保坂正康「連載 「昭和史」の名将たち」など。
「オール読物」を幕の内弁当だとすれば、「小説新潮」は松花堂弁当か。
わかったようでわからない、たとえだね。自分で書いてていうのもナンだけど。ただアレかな。文春の源流は、広い意味での「雑文」にあり、新潮社の源流は、決してそんなに広い意味ではない「文芸」(小説というか物語)にあるんじゃないかな。


その2誌に比べて、「小説現代」は、講談社っぽいとはいえないと思う(リアルタイムでは、ここ数年の「小説現代」しか知らない私にとっては)し、「小説現代」っぽさが、よくわからない。
でも、坪内祐三「酒中日記」という「小説現代」にふさわしい連載がはじまって、ちょっと見直すかもしれない。

*1:でも、それじゃ月刊「文春」っぽくなっちゃうか。あるいは「エンタクシー」

*2:いまの「週刊朝日」があまり好きではないのは、「週刊朝日」らしさを軽視しているから。「週刊朝日」は、スクープスクープ飛ばせばいいって雑誌じゃないんだから。

*3:二次使用すればいいのに。文春は昔、よくそういうのを文庫で出していたのになぁ…