初立石

昨夜までは朝早く起きて所用を済ませてから、神保町早稲田を散歩しようと思っていたが、結局、午後1時過ぎまで、だらだらと寝続ける。
だらだらしてると、朝日新聞配達所の店員が来る。
「今月で契約が切れるのですが…」とのこと。
ウウム、最近朝日あまり面白くない。朝刊の読みごたえだけでいえば日経や読売、自分の好みだけでいえば毎日か東京、単純に面白さだけでいえば産経で、朝日は仕事上読んで損はないから何となく購読しているだけ。「やめようと思うんですよ、別にね、あなたがどうとかいうわけではなくてね、商品が商品だから。読売か日経か毎日にしようと思ってるんだけど」と言うと、「この中から好きなものを選んでください」と商品カタログ(といっても、3ページのチラシだけど)を見せられる。
よくわからないゲーム機とか様々な商品が並んでいる。「WiLL」の編集者ならば、このチラシをコピーして「定期購読者獲得のために朝日新聞』がバラまくショボイ商品商品」など記事にしたいところだが、あいにく私は月刊ウィルの編集者ではないので、そんなことはしないで、その中で唯一マトモそうで、常々欲しかった土鍋をもらうことにする。
「で、いつくれるの?」というと「いますぐお持ちします」。
5分もしないうちに、鍋が届く。


時間的に神保町を回る余裕はないので、早稲田へ。
初めて立石書店へ。
あんまり早稲田の古本屋っぽくなかったのに驚く。荻窪ささま書店っぽい感じだ。
アレも欲しいコレも欲しいとは思うけれど、セドリはしたくないし……とか考えて3冊選ぶ。

『葬送 時代をきざむ人生コラム』産経新聞社会部 社会思想社 現代教養文庫 1996年刊
みすず書房の50年』みすず書房 1996年
『坪内経営残酷物語』安藤政秀 エール出版社 昭和59年

250円!、1200円、400円。『みすず…』『坪内…』は、ナンダロウさんのコーナーから。
『坪内経営残酷物語』、これ、開店当初の東京堂ふくろう書店の坪内棚で目にしていてイロイロ気になったのだが、この手の本は均一で探せば出てきそうだし…とか思っているうちに、棚から消えていた。久しぶりの対面なので、迷わず購入(ちなみに坪内寿夫のことは、大塚将司『スクープ』文春新書、中川一徳『メディアの支配者』講談社にもちょっとでてくる)。


その後、古書現世へ。

大宅壮一全集 第三巻』蒼洋社
「漫画讀本」昭和41年2月号 特集「新東京早わかり・ギャンブル金言集」
彷書月刊」2007年1月号 特集「みんなでふるほんまんが」

1000円、300円。
「漫画讀本」の遺伝子は、いまでも「オール讀物」に多少は生きているけれど、「漫画讀本」の遺産自体を文春は活かしてはいない。文春に限らず、講談社も新潮社も、そう。なぜ遺産を大切にしないのだろう。


向井さんに誘われ、お茶へ。
その後、牛イチローさんとの飲み会にも誘っていただく。
向井さんや牛イチローさんと話していて、あらためて早稲田という街が好きだなぁと思う。中野翠さんが以前どこかで書いていたけれど、街の文化レベルは喫茶店や本屋でわかる。それにならっていえば、早稲田以上の街ってそんなにないと私は思う。少なくとも、積極的に通いたいと思う本屋や喫茶店があるのは、早稲田と神保町だけ。
神保町へ行くのは古本めあてじゃなくて、新刊めあて。神保町は均一棚以外は全然面白くないし……。


もうすっかり早稲田と縁遠くなったと思ったけれど、明日もあさっても、早稲田へ。
きょうは覗けなかったところを覗こう。