気になる9月発売の本

『戦後の巨星 二十四の物語』本田靖春
講談社 9月20日 2,100円
■20年余前の週刊現代「異色対談連載」。美空ひばり長嶋茂雄中上健次ビートたけしら各界巨人たちの「本音」と「真実」に迫る対談集。

本田靖春本、復刊希望。

『東京居酒屋探訪』大道珠貴
講談社 9月11日 1,575円
芥川賞作家・大道珠貴初のエッセイ集。文壇有数の酒豪である著者が色々な町を歩き居酒屋で酒を飲む。著者によるイラストも秀逸。

大道珠貴は、「BUBUKA」に連載していたこともあるくらいの無頼派

『帰ってきた黄金バット』釉木淑乃
集英社 9月5日 1,890円
東京キッドブラザーズの劇団員だった兄・永倉万治と仲間たちの足跡をたどり、その後の彼らの人生を通して、時代の輝きを描く。

永倉万治の、というところが惹かれる。集英社がこういうシブイ本を出すとは(ちくまっぽいぞ)。

『「昭和力」検定ドリル』「昭和力」検定委員会編
世界文化社 9月4日 1,260円
■ニッポンが元気だった昭和40年代がテーマ。300問のクイズを解いて「昭和力」を試そう。懐かしい写真も満載。

昭和40年代ブーム狙っているんでしょうか。

『「構造改革」の罠(仮)』関岡英之著/和田秀樹
PHP研究所 9月15日 1,575円
■日本国民は「富」だけでなく、「健康」「安心」まで奪われるのか。「構造改革」の影の部分に注目してきた両論客による警世の書。

和田秀樹、売れそうならどんな本でも書く。。。

『わかる!現代思想・入門(仮)』仲正昌樹
PHP研究所 9月21日 1,470円
ポスト構造主義からネオ・マルクス主義英米リベラリズムポストコロニアル、帝国論まで、いまアクチュアルな現代思想の最新入門書。

仲正昌樹編なら、即買い。

『新平等社会 「希望格差」を超えて』山田昌弘
文藝春秋 9月中旬 1,260円
■仕事と家族のリスクが増大し二極化が進む今、経済・家族格差を希望の格差に結びつけない新しい社会のあり方を提案する刮目の書。

こういう本が、「世界」の岩波書店ではなく、「諸君!」の文藝春秋から出る不思議。

『幻のキネマ満映山口猛
平凡社 9月11日 1,680円
■傀儡国家満州を支配する道具であった満映。理事長甘粕正彦を中心に群れ集まった映画人の姿を、広汎な史料と貴重な聞き書で活写。

古本栄えする本ですな。


●社会

『階級社会』橋本健二
講談社 9月8日 1,575円
■今や日本は、世界的に見ても不平等度が高く、貧困者の多い国である。しかも階級格差は確実に拡大し続けている。現代日本に警鐘を鳴らす。

階級社会なんですか、日本は?

『「思想の科学」50年の回想 地域と経験をつなぐ』思想の科学研究会編
出版ニュース社 8月下旬 2,625円
■雑誌「思想の科学」が休刊して約10年。思想の科学研究会がシンポジウムを開催した。思想の科学とは何なのか。その記録集。

まだ休刊から10年しか経っていないんだ。

『希望立国、ニッポン 15の突破口』若林秀樹編著
日本評論社 9月上旬 1,890円
民主党影の内閣」の経済産業大臣として活躍する編著者が、5年間の議員活動をふまえて、日本新生への政策を提言する。

民主党影の内閣」、まだあったのね。

『出版メディア入門』川井良介編
日本評論社 9月中旬 2,625円
■急速に変化する出版メディア環境の現状と課題を明確にし、歴史から法制度、電子化まで俯瞰した出版論テキストのスタンダード。

この分野には、なぜか、いいテキストがあまりない。

●新書

『改革と抵抗』黒野耐
講談社 9月20日 756円
■日清日露を制した桂太郎による軍制改革の勝因とは。そして第一次大戦後の宇垣一成の改革、太平洋戦争直前の石原莞繭の改革はなぜ潰えたか。

このタイトルじゃ、チョイトねぇ。。。

『戦前日本のサラリーマン・ライフ』岩瀬彰
講談社 9月20日 777円
■学歴格差の現実のなか「月給100円」目指して出世を競い、家庭では「お受験」も過熱。勃興期にあった「サラリーマン社会」の内実から戦前を問い直す。

リニューアル前の講談社現代新書っぽい。

『データの罠 世論はこうしてつくられる』田村秀
集英社 9月15日 714円 
■巷にはデータが溢れている。そのデータにどれほど客観性があるのか。実はかなり危ういデータが跋扈している。本書ではデータの正しい読み方を考える。

自民党総裁選にぶつけて本を出すところに、集英社の商魂が感じられる。

『「小さな政府」を問いなおす』岩田規久男
筑摩書房 9月5日 777円
■誰もがいまや「小さな政府」を当然の前提と考える。だが、格差拡大などの問題も生じた。本当の改革のために何が必要かを検証する。

これ、なぜ岩波書店から出ない?

下流喰い 消費者金融の実態』須田慎一郎
筑摩書房 9月5日 714円
格差社会の暗部で弱者を貪り肥大化した消費者金融業界。その甘い蜜を求め銀行とヤミ金が争奪戦を演じる、衝撃のノンフィクション。

すげぇタイトルだ。

『百姓から見た戦国大名黒田基樹
筑摩書房 9月5日 735円
■生存のために武器を持つ百姓。領内の安定に配慮する大名。乱世のパワーバランスとは。戦国時代の権力構造と社会システムをとらえ直す。

『経営戦略を問いなおす』三品和広
筑摩書房 9月5日 735円
■戦略と戦術を混同する企業が少なくない。現実のデータと事例を数多く紹介し、腹の底からわかる「実戦的戦略」を伝授する。

ちくま新書は、「問い直し」たり、とらえ直したりするのが好き。

『父親のすすめ』日垣隆
文藝春秋 9月20日 746円
■「小遣いの与え方」「自立のさせ方」「判断力のつけ方」など3人の子を持つ著者の体験的子育ての極意。悩める親たちに救いを与える。

日垣隆、最近、働きすぎじゃ。。。

『夢と魅惑の全体主義井上章一
文藝春秋 9月20日 1,365円
ヒトラー、ムソリーニ。独裁者たちが「建築」へ託した情熱と夢に、建築家はいかに応えたか。そして日本ファシズムの謎とは。

単行本だったら、3000円ぐらいしそう

『東京名画座グラフィティ』田沢竜次
平凡社 9月11日 756円
■1960年代末から70年代、名画座は熱気あふれる特別な場所だった。あの頃の映画館と観客を活き活きと描く。

『昭和大相撲騒動記』大山眞人
平凡社 9月11日 777円
昭和7年、幕内力士が大挙脱退、改革を唱え新団体を立ち上げる「春秋園事件」が起こった。その顛末を描く現代史ノンフィクション。

今月の平凡社新書、シブすぎ。


●文芸

『カーライルの家』安岡章太郎
講談社 9月15日 2,625円
■日本人が考えうる最高の文章。多岐にわたる日本文化への汲めども尽きぬ興味と人生の真贋を見極める作者が描く待望の小説。

島田雅彦芥川賞を授賞させたくなかった「や行」の人(『文学賞メッタ斬り!リターンズ』)って、この人でしょ?

『女流 林芙美子有吉佐和子関川夏央
集英社 9月26日 1,890円
■生きることがすなわち書くことだったふたりの女性作家をとおして、戦前と戦後のふたつの昭和を照らし出す。

『コルセット』姫野カオルコ
新潮社 9月22日 1,365円
■流れてゆく。男の子の唾液がわたしの喉を。吸いついてゆく。男の子の指がわたしの体を。あるふたつの箇所をのぞいて。優雅で官能的な4つのロンド。

姫野カオルコ、なぜブレイクしないのか……

『ティンブクトゥ』ポール・オースター著/柴田元幸
新潮社 9月29日 1,680円
■出会いの喜び、別れの悲しみ。言葉のわかる犬と放浪癖のある飼い主の可笑しくて、感動的な物語。

柴田元幸翻訳作品にはずれなし

『わが悲しき娼婦たちの思い出』ガブリエル・ガルシア=マルケス著/木村榮一
新潮社 9月29日 1,890円
■満90歳を迎える一夜を、処女と淫らに過ごしたい。悲しくも心温まる、波乱の愛の物語。

新潮社、よいぞ。

『小説の誕生』保坂和志
新潮社 9月29日 1,995円
■世界を絶望せずに生きるための小説を求めて。小説論と小説、あるいは哲学との境がしだいに消えてゆく、『小説の自由』に続くスリリングな論考。

これは、愉しみ。

『都と京』酒井順子
新潮社 9月22日 1,575円
■京都って、何だかやたらと楽しい、とつぶやく非京都人に捧ぐ。京都も東京もこよなく愛する著者が、鋭い目配りで徹底比較した、痛快な2つの「みやこ」。

酒井順子、目配りが鋭すぎるから、負け犬だと思う

『対話の達人、遠藤周作(1)』遠藤周作ほか
女子パウロ会 9月下旬 2,415円
■没後10年、なお衰えぬ人気の秘密の一端を、広い交友を物語る人々との対話からしのぶ、対談集。『2巻』同時刊。

遠藤周作、没後10年しか経っていないんだっけ?

昭和出版残侠伝(仮)』嵐山光三郎
筑摩書房 9月上旬 1,575円
■雑誌創刊ラッシュ前夜の1980年代前半。有名出版社を退職し、出版社を興した著者と仲間たち。
疾風怒濤・悪戦苦闘の嵐山出版風雲録。

嵐山光三郎、ひさびさの自伝的作品!

『僕らの開高健は、今でもモンゴルに生きている。』高橋磤
つり人社 9月上旬 2,100円
■晩年の人生を解き明かすもうひとつの大きなキーワード「モンゴル」について、初めて正面から光を当てた、開高ファン待望の1冊。

どこの出版社も開高健ブームを起こしたいらしい

『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ・出張編』大崎梢
東京創元社 9月30日 1,575円
■友人の依頼で地方書店の幽霊騒動を探りに出かけた杏子と多絵。そこに老大作家の死が絡んで。今注目の本格書店ミステリ、第2弾。

大崎梢本屋大賞あげたい

『文学全集を立ちあげる』丸谷才一著/三浦雅士
文藝春秋 9月下旬 1,575円
■「いま読んで面白い作品を」。新しい文学観で従来とはまったく違う刺激的文学全集(世界・日本篇)を編みなおす壮大な試み。

文藝春秋 臨時増刊」の座談会をまとめたものかな?


みすず書房

『懐手して宇宙見物』寺田寅彦著/池内了
みすず書房 9月上旬 2,730円
■ドングリの思い出に寄せて新妻の死を語った傑作「団栗」、映画や絵画さらに花や猫を愛する文学味豊かな一面を炙り出すエッセイ集。

小山清 小さな町』小山清
みすず書房 10月上旬 2,730円
下谷での新聞配達時代や、夕張炭坑で働いた日々。不遇な生涯のなか、人生の哀歓を、ひっそりとした筆致で綴った短篇の佳品10編。

ナショナリズムの発展 新版』E・H・カー著/大窪愿治訳
みすず書房 9月上旬 2,520円
■第2次世界大戦直後、現実的な視点で大戦後を予測した本書。深い洞察で冷戦後のナショナリズムの問題にも多くの示唆を与える。

藤田省三対話集成(2)』藤田省三ほか著
みすず書房 9月下旬 3,990円
■同時代または近代の思想・文芸をめぐって深く垂らされた思索の測鉛。石牟礼道子、古在由重、佐多稲子、廣松保ほかとの対談を収録。

『闘争と文化 マックス・ウェーバーの文化社会学と政治理論』野口雅弘
みすず書房 9月下旬 6,825円
■9・11以降の世界の中でウェーバーの仕事から何を読みとるか。膨大な著述群より、大胆かつ堅実に、21世紀のウェーバー像を提示。

いいぞ、シブいぞ、みすず書房

●理系

『法則の辞典』山崎昶編著
朝倉書店 9月上旬 12,600円
■法則や法則に順ずる原理、効果、現象、理論、定理など約4,400項目を採録、100字前後で解説した。

ありとあらゆる法則が載っていれば、買いなんだけれど…。100字前後で解説だと、うーむ。

『バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑』日本直翅類学会編
北海道大学出版会 9月中旬 52,500円
■日本産全477種を、色鮮やかな4,800枚を超えるカラー写真で収録。127種の鳴き声CD2枚が付き「聴く図鑑」としても楽しめる。

いかんせん、お値段が・・・