週刊新潮8月11・18日号
福田和也「闘う時評」は、「戦後60年に復刻した海軍雑誌」。
昭和13年から20年まで海軍省の監修により、<文藝春秋社から独立したモダン日本社の流れをくんだ出版社>である興亜日本者から発行されていた雑誌『戦線文庫』が、日本出版社より復刻されたという。
で、内容は、というと…。
第三号のグラビアでは、巻頭こそ、白馬にまたがり二重橋を渡る天皇陛下ですが、そのあとは女優のブロマイドばかり。李香蘭、高杉早苗、桑野通子、山田五十鈴、高峰美枝子などのグラビアが十五ページ続いています。写真には一人一人の女優の言葉が添えられていて(以下略)。
今一つ目立つのは、演芸記事で、毎号のように落語、講談、浪曲、漫才の筆記ページが割かれています。昭和十八年の第五十三号には一龍斎貞山、篠田実、桂右女助、エンタツ・エノスケの演目が掲載されています(中略)。昭和十七年の第四十三号には、ダイマル・ラケットの台本作者として、漫才の近代化を進めた秋田実作の「ルーズヴェルトとチャーチル」が載っています。
もちろん、誌面はエロと笑いだけでなく、菊池寛、吉川英治、小栗虫太郎、海野十三、長谷川伸、尾崎士郎などの小説が毎号数本載っていますし、嶋田繁太郎海軍大臣をはじめ、大川周明、近衛文麿、大島浩などのご高説も掲載されています。
日本出版社のホームページによれば、完全復刻版と解説版の全3巻で8400円。
これはぜひ買っておきたい。