本はいつのまにか増えていて……

大学4年生の頃、ゼミの飲み会のとき、先生がこうおっしゃった。
「本は、いつのまにか増えてるんだよなぁ。本ってな、知らない間に、こっそりとこども生んでるんだよ。本棚整理すると、買った覚えも読んだ覚えもない本が結構あることに気づくんだ」

そのときは「本がこどもを生む」なんて考えてもいなかったけれど、
気づいたら、私の本棚にも「本のこども」が生まれていた。

本棚を整理していたら、小林信彦の文庫本コーナーから、ちくま文庫版『1960年代日記』がでてきた。
『1960年代日記』は、白夜書房版を図書館で借りて読んだものの、ぜひとも手もとにおいておきたいと思い、ここ何年もずっと探していたのだ。
だから、この本を入手したときは、相当喜んだに違いないのに、その記憶がまったくないのである。

いったい、いつ、どこで、誰が買ったのか?