文藝春秋 2005年 08月号

文藝春秋 2005年 08月号

今月号の読みどころは、「特集 『格差社会』勝ち組の正体」(橘木俊詔「日本のお金持ちと学歴大研究」、山本一郎「『六本木ヒルズ族』の仮面を剥ぐ」)。

平野啓一郎「記憶と距離」(巻頭随筆)

記憶というのは、どんな場所のものであっても、基本的には携帯可能で、パリの記憶も、日本の記憶も、わたしの小さな頭の中に収められているには違いないのですが、案外その本当の在処は、今以て出来事の生じたその場所に秘められているのかもしれません。そして、もし文化を相対化する思考に、距離のリアリティがあるとするならば、それは知識が根をさす記憶と場所とのそうした結びつきにこそ負うているのかもしれません。

「知識が根をさす記憶と場所のそうした結びつき」を描いた、平野の小説を読んでみたい。

林真理子丹羽宇一郎「本屋の娘と息子『至福の読書』」
 本屋の娘や息子だからって、売り物の本をタダで読むのは……。