気になる文芸書
『「穴」を探る草森紳一』河出書房新社2月20日税込価格:2,100円ISBN:9784309019130
世界は穴。老荘思想の本質を「穴」に見出だした評論家草森紳一のライフワーク。「穴」をめぐる硬軟織り混ぜて綴る穴的思考文化論。
草森紳一本はこれからもどんどん出てくるはず。
『オーラな人々 あなたが愛したスーパースターと、いま、再び、ふたりっきりの時を。』椎根和 河出書房新社2月10日税込価格:2,100円ISBN:9784309908250
「平凡パンチ」の三島由紀夫担当だった著者が疾風怒濤、激動の時代の想い出を語る、やけどしそうに熱い1冊。三島秘蔵写真掲載。
『エ/ン/ジ/ン(仮)』中島京子 角川グループパブリッシング2月25日税込価格:1,575円ISBN:9784048739306
人嫌いの「エンジン」。孤独な夢想家の「ゴリ」。2つのあだ名だけを残し、父は70年代に消えた。隆一とミライは失踪した父の痕跡を追い、次々と不思議な人々に出逢う。
『装幀思案』菊地信義 角川グループパブリッシング2月27日税込価格:2,100円ISBN:9784046213969
本の内容を伝え、読みたいという思いを誘う「装幀」。日本を代表する装幀家が、書店で目にとまった装幀(本)を手に、心引かれる理由を言葉にかえた。
『世界小娘文學全集 文藝ガーリッシュ・舶来篇』千野帽子 河出書房新社2月20日税込価格:1,680円ISBN:9784309019109
『文藝ガーリッシュ』に続き、『地下鉄のザジ』『うたかたの日々』『ティファニーで朝食を』など世界のガーリッシュな文学を紹介。
もの凄くたくさん本を読んでいる千野帽子って、何物なんだろう。
『うつ人生も悪くない(仮)』谷沢永一 海竜社2月12日税込価格:1,470円ISBN:9784759310580
中学生の頃から60数年間うつ病と闘い続けながらも多くの業績を残したそのコツは。病気との向き合い方、付き合い方満載の体験記。
『観音力(仮)』玄侑宗久 PHP研究所2月23日税込価格:1,365円ISBN:9784569706160
観音様に正しさなどない。ただ状況に応じ因縁に従い自由な心そのものとして現れる。いわばもっとも活溌な人こそ観音力の発現なのだ。
『大人の読書(仮)』谷沢永一著/渡部昇一著 PHP研究所2月23日税込価格:998円ISBN:9784569706894
人生をより輝かせるために、一度は呼んでおきたい本とは。世界中の本のなかから選りすぐりの本と、その読み方を紹介する。
谷沢&渡部コンビの久々の読書本。
『横浜少年物語』紀田順一郎 文藝春秋2月中旬税込価格:1,470円ISBN:9784163712505
博覧強記の評論家が、疎開生活やアメリカ文化が流入した戦後横浜の風俗を、身震いするほど読みたかった本の思い出とともに振り返る。
『英米小説の読み方・楽しみ方』林文代編 岩波書店2月25日税込価格:2,205円ISBN:9784000222808
5人の研究者がさまざまな切り口で、小説を読むとはどういうことかについて語る。東大駒場のテーマ講義を再現。
『近世文学の境界 個我と表現の変容』揖斐高 岩波書店2月24日税込価格:10,500円ISBN:9784000225687
表現の中に描かれた近世人の姿と創作意識のあり様を追究し続けてきた著者の積年の論考を集成する。
『季題別 飯田龍太全句集』飯田龍太 角川グループパブリッシング2月10日税込価格:2,730円ISBN:9784046213945
『百戸の谿』から『遅速』まで十句集の全作品を季題別に配列し、巻末に初句索引ほかを付して、ハンディな廉価愛蔵版全句集として刊行する。
『ポトスライムの舟』津村記久子 講談社2月5日税込価格:1,365円ISBN:9784062152877
「わかった、貯めよう」世界一周の費用と年間手取り給が同額だと気づいたナガセは、働く目的として執拗なまでの節約を試みるが。
芥川賞受賞!
『派遣ちゃん』宮崎誉子 新潮社2月27日税込価格:1,365円ISBN:9784103008521
面接されて登録され、派遣されて拘束され、理不尽なイジメと闘い、経費削減で契約終了。派遣で働く俺たち、私たちのリアルを描く新世代のプロレタリア文学。
『ミステリーの半世紀』佐野洋 小学館2月20日税込価格:2,100円ISBN:9784093878265
著者は1958年に「銅婚式」を発表し、作家としての人生を歩む。それからの50年、日本ミステリー界の黎明期を著者の日記から読み起こす。
「日記から読み起こす」というところが楽しみ。
『失踪者/カッサンドラ』フランツ・カフカ著/クリスタ・ヴォルフ 河出書房新社2月10日税込価格:2,940円ISBN:9784309709543
故郷を追われて新大陸アメリカを彷徨する青年の孤独と遍歴の物語と、未来を予見する王女の視点から神話を読み替えた傑作を収録。
『墜ちてゆく男』ドン・デリーロ著/上岡伸雄訳 新潮社2月27日税込価格:2,520円ISBN:9784105418052
2001年9月11日、WTCは崩壊する。落ちる人影。生き延びたギャンブル狂の男は。米最大の作家が初めて「あの日」と対峙した、鎮魂の返歌。
『極北で』ジョージーナ・ハーディング著/小竹由美子訳 新潮社2月27日税込価格:1,995円ISBN:9784105900748
17世紀、北極海の島を舞台に、ある船乗りによる極北の地での越冬と魂の救済を重ねあわせた胸を打つ物語。英国人女性作家の類稀なデビュー長篇。
『グローバリズム出づる処の殺人者より』アラヴィンド・アディガ著/鈴木恵訳 文藝春秋2月中旬税込価格:2,050円ISBN:9784163275604
究極の格差社会インドから中国首相に送られる殺人の告白。グローバリズムの闇を切り裂き、人間の欲望と悲しみを暴く挑発的文学。
この本の原題は何?
『幸田文 しつけ帖』幸田文 平凡社2月4日税込価格:1,680円ISBN:9784582834239
父幸田露伴に、雑巾がけから料理、身嗜みまで衣食住厳しくしつけられ、また渾身で尽くした作家幸田文の生きる知恵がつまった1冊。
『李白 巨大なる野放図』宇野直人著/江原正士聞聞き手 平凡社2月10日税込価格:1,995円ISBN:9784582834246
詩仙・李白の生涯と作品を詳細に辿った決定版。豪放でロマン溢れる作品は魅力に満ち、志とげず死に至った哀切な一生は共感を誘う。『杜甫』同時刊。
『太平天下』蔡萬植著/布袋敏博訳 平凡社2月25日税込価格:3,360円ISBN:9784582302363
植民地支配下にありながら、己の歓楽と保身ばかりを追求する強欲な親子の「太平天下」な生活を描き、朝鮮近代の現実を浮彫りにする。
『ぐるり 09年2月号』五十嵐洋之編 ビレッジプレス2月上旬税込価格:300円ISBN:9784894921481
中央線エリアと東京全域のイベントセレクトと人々の情報誌。特集インタビューは4月の高田渡生誕祭をプロデュースする佐藤GWAN博。
『このあいだ東京でね』青木淳悟 新潮社2月27日税込価格:1,680円ISBN:9784104741038
街は言葉でできている。最注目の新鋭が恐るべき手さばきで組み立てていく、誰でも知っている、でも誰も見たことのない、ぼくらの街の超リアルな解剖図。
『人生に生きる価値はない』中島義道 新潮社2月18日税込価格:1,365円ISBN:9784104397068
何をしてもどうせ死んでしまう限り人は不幸である。そしてそれから眼を離して生きていることがもっとも不幸である。明るいニヒリズムに満ちた哲学エッセイ。
『憂鬱の文学史』菅野昭正 新潮社2月27日税込価格:2,310円ISBN:9784103134817
私たちが必ず罹かる病気、それが憂鬱。では、近代文学はその病にどう対処したのだろうか。芥川・梶井・朔太郎、そして名作『田園の憂鬱』の誕生へ。
『恋愛、万歳』村上香住子 新潮社2月20日税込価格:1,680円ISBN:9784103022725
教師と駆け落ちし、5人の娘をもうけた後、夫に去られた母。それでも死の床で母は言った。「恋愛、万歳」と。自らの半生と重ね、母を追慕する随想集。
『儒教と負け犬』酒井順子 講談社2月20日税込価格:840円ISBN:9784062150477
東京、上海、ソウルの勝ち犬、負け犬たちを徹底比較。気が強い上海女、奥ゆかしいソウル女、その中間の東京女。三国の「独身事情」に隠される儒教の影響とは。