年末は時間の流れが、いつもと違う。

年末、書店に行って戸惑うのは、月末発売の月刊誌が通常よりも早く並べられていること。ケチくさい私は、雑誌がちょっとでも早く手に入るだけで嬉しいから、ついつい嬉しくなって、買ってしまう(何を買ったかは、きょうのところ、秘密)。きょうの携帯本は、鹿島茂『神田村通信』(清流出版)。神保町に住みたいと思うこともあるものの、私にとって、神保町は「わざわざ行きたくなる街」であって、住むところではない。ただ、ここ最近、行きたくなる街では少しずつなくなっている。神保町からはどんどん「雑」が失われていっているような気がするので*1
古書現世の向井さんがブログで、こう書いていた

でも、店が減っても自分が古本屋を続けていく限り、「早稲田的」なものは残していきたいと思います。今風の「店主のセンスの楽しみ」じゃなくて「雑の楽しみ」を。客さんの目で勝手に棚の編集ができる楽しさというか。

早稲田の古本屋の楽しみって、まさに「雑の楽しみ」にあるわけで。
仕事用に古本を探しに行くなら神保町、店主のセンスを楽しむなら西荻窪あたりに行ったほうが満足すると思う。早稲田の古本屋は、そのどちらでもない。
目的の本を探したところで、すぐに見つかるということは、まずない(大学の講義用教科書くらいだ、手に入りやすいのは)。オシャレな空間では、絶対ない。


古本屋をやったことがない人間がいうのもなんだけれど、「店主のセンス」のよさを売りにすることは、たぶん、そんなに難しくない。実際に「センス」がいいかどうかっていうのはさておいて、客から「このお店のひと、センスよさそう」って思われそうな品揃えは、見様見真似でなんとかなる。
専門に突っ走ることも、おそらく、そんなに難しくない。●●専門の看板を挙げれば、「探しているあの本は、あそこにあるのではないか」「この本を、あの店では買ってくれるだろう」と買う人売る人が勝手にやってくる。
話を単純化しすぎた。センスや専門性を売りにするにしても、ショーバイを続けていくことは、とても難しいだとは思うけれど、とりあえず、そのことはおいといて。
センスや専門性を売りにするのは、たぶん、そんなに難しくない*2
ただ、センスや専門性を売りにすればするほど、効率よくショーバイしようとすればするほど、「雑」さは失われていく。


早稲田の古本屋には、「雑の楽しみ」を味わえる「普通の古本屋」が、いまでも多い。
これだけ普通の古本屋が多い街は、ありそうでない(たぶん)。
文章がどんどんグダグダになってきたので、ここらへんで。
まっ、とにかく、週末はワセダへ行きましょう。そういうことです。

*1:最近、神保町に行く理由は、もっぱらメシと新刊書や雑誌をちょっと早く買うため、ちょっと安く買うため

*2:ただ、それをショーバイにつなげるのは、また別の話