同業者との呑み

利益が出る雑誌であれさえすればいいって?
たとえ自分がつまんないと思っても、儲けられる媒体ならいいって?
えっ、だからさ、利益でればいいってもんじゃねぇよ。
利益出したいとか行ってるんだったら、とっとと証券会社とか外資系コンサル行って、IPOだかなんだかやればいいじゃない。
そんなに利益利益言うんなら、株で儲けて、5億円ぐらい溜めれば証券会社がいい新規株式を融通してくれる(らしいよ、ホントかどうか知らないけどね)から、そういうふうにして儲ければいいじゃんか。
何もね、こういう“斜陽産業”に入らなくていいんだよ。

俺がね、こういう産業――あえて、ビジネスといおうか――が好きなのは、利益至上主義じゃなくても会社が何とかやってけるからであって。作家や編集者が面白いと自分で思っているものを世に問うて、収支トントンであればいいっていうさ、そういうビジネスだからなんだよ。かなり大雑把な言い方だけど。
それがね、売れれば正義だ、儲けるものが正しい、それでオッケーなわけ? まぁ「レオン」は、ある意味(って死語だね)面白いけれど、そういうもんを積極的につくりたいと思う人って、雑誌とか書籍つくるには向いていないと思うよね。


今さら古いんだよ。広告がどうの、代理店がどーのってさ、バブルはじけるより、さらに前のビジネスモデルなわけでしょ? で、その結果、そういうことだけしか見ていなかった雑誌って結局残ってるわけ? まぁ何誌か生き残っているけどさ、雑誌としてつまらない。つまらなくないって? それ、マジで言ってるわけ? あっ、そ。じゃ一生読んでろよ、「ギョーテ」とかさ。何を今さらって感じだよね。
テレビだって、結局、雑誌のン百倍もの広告収入がありながら、広告収入だけじゃアレだから、違う収益もということでデジタル放送に力入れ始めたわけだしね。そういうとこ、わかってんの? まぁ俺自体、自分で言っててよくわかんないんだけど、たぶんそうなんだよ。そういうことにしておいてくれ、ともかく。


そうじゃなくてだ、「数十万売れてます」ってところでやるんじゃなくて、部数は少なくても、しかるべき価格で、そこそこ売れればいいじゃない?


ああ、俺の考えは古いかもよ。これだけ雑誌が売れないって時代に、実売で勝負しないっていう風潮のときに、実売で勝負しようってんだからさ。
でもね、たとえ定価が900円でも、企画や内容次第で売れるんだよ。んで、そういうコアな層――雑誌が好きで好きでたまらない層でもいいし、雑誌はあまり好きじゃないけど情報感度が高い層でもいいし、まぁどういう層でも構わない――にウケる、自分が面白いと思う雑誌を作りたい。少なくとも俺はね。
いまある雑誌でいうと、たとえば「日経ビジネス」とか「選択」とか「フォーサイト」月刊「文芸春秋」みたいな雑誌とか、あるいは「エンタクシー」とか「新潮」「文学界」「早稲田文学」に匹敵する文芸(というとちょっと狭いな。総合文化かな、強いて言うと。そういうと軽すぎるし、ワケわかんないけどさ、まっ、とりあえずそういう)総合誌。あるいは、総合週刊誌


高給とかどーでもいいんだよ。給料と仕事のやりがいだけなら、俺はコンサルとかに行ってるよ。そっちの方が効率というか能率というか、そういうのいいし。
慈悲じゃなかった、自費出版? 広告収入依存の雑誌? 一生やってればいいじゃん。
生活のために働くっていうのもわかるけどさ、何も生活のためにこういう業界はいらなくてもいいわけで。
会社に利益をもたらすために働く?
そういうことは、しかるべき役職についた人間のセリフだよ。
最初からそういうこと思っていてどーする。
若いんだからさ、青くなくてどーする。