新潮社の5月新刊

『残光』小島信夫
5月31日発売/1680円 46判/ハードカバー/248頁
●妻よ! 小説よ! 記憶を失い介護施設に暮らす妻。みずからの切実な老い。『アメリカン・スクール』から半世紀、文学の最前衛を走りつづける90歳の作家の、残光に照らされた「いま」の輝き。

「最前衛を走りつづける」。前線ではなく、前衛というところがいい。

『文士の生魑魅(いきすだま)』車谷長吉
5月31日発売/1470円 46判/ハードカバー/176頁
●人の苦痛が一ト時の慰めを求めて手を伸ばすもの、それが文学。人に咬みつく毒蛇、それが作家――。放浪の日々に出逢った「立志伝」「あかん男」などを紹介。「波」好評連載「続・意地ッ張り文学誌」。

いまどき「文士」という言葉が似合う小説家は、この人と町田康ぐらいだろう。

『押入れのちよ』荻原浩
5月22日発売/1575円 46判/ハードカバー/304頁
●今ならこの格安物件、かわいい女の子(14歳・ただし明治生まれ)がついてきます……愛らしく不憫な幽霊と失業中サラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、ぞくりと切ない9夜の物語。

荻原浩、中間誌(という言葉は死語か。「小説新潮」「オール読物」)で読むといいのだが、単行本だと手を出す気が。。。

『W杯ビジネス30年戦争』田崎健太
30日発売/1575円 46判/ハードカバー/256頁
●延べ視聴者数=四〇〇億人、経済効果=三兆円――。たった一つのスポーツイベントがなぜこれほど多くの人々を魅了し、巨額を動かすに至ったのか? W杯ビジネスの知られざる「光と闇」の紳士録!

新書なら買うんだけどね。単行本だとちょっとね

『自壊する帝国』佐藤優
31日発売/1680円
ソ連邦末期、巨大帝国は空虚な迷宮と化していた。“国家とは、こうもあっさりと滅びてしまうものなのか!?”ソ連崩壊の一部始終を内側から見つめた、迫真のインテリジェンス・ノンフィクション。

「インテリジェンス」という言葉、自称すればするほどウサンくさく感じるぞ。

永井荷風 ひとり暮らしの贅沢』永井永光、水野恵美子、坂本真典
25日発売/1470円 とんぼの本/128頁
●二度の離婚を経て、生涯独身を通した荷風の自由奔放な独居生活を『断腸亭日乗』を中心とした作品と数々の遺品から読み解く。晩年の作・幻の春本『ぬれずろ草紙』抜粋を長男・永光氏の回想と共に収録。

永井荷風のひとり暮らしは「贅沢」だったのか。

『江戸の性愛術』渡辺信一郎
25日発売/1155円 新潮選書/224頁
●「ぬか六(抜かずに六交)」「ふか七(拭かずに七交)」とは? 究極の快楽に到達する36種の交合体位とは? 遊女屋の主人による驚愕の書をわかりやすく解説し、江戸の高度な性愛文化を紹介する。

新書なら買うのだけれどね。選書となると…