2月の発売予定 学術(?)編

ジョン・R・ギリス/著 北本正章/訳
『結婚観の歴史人類学 近代イギリス 1600年〜現代』勁草書房
2006年02月上旬  7,140円(税込)
ロマン主義の恋愛意識と結婚観の成立と解体。人々はどのような結婚戦略をとってきたのだろうか。多様な習俗とエピソードから描く。

近代日本編、誰かやってくれませんか。

川北稔/責任編集『歴史学事典 第13巻 所有と生産』弘文堂
2006年02月上旬  16,800円(税込)
商品やサービスの生産過程と供給、すなわち「流通」までを概念として検討。世界的な経済関係に関わる様々な項目を数多く取り上げています。【生産】としてはデザインや交通・レクリエーション・医療のようなサービスも扱い、【所有】は知的財産権や身体所有、肖像権や景観までも歴史的に論じます。

こういう本がもっと早く出ていれば、卒論がだいぶマシになったろうに…。

『住宅70年代・狂い咲き』エクスナレッジ
2006年02月上旬  2,940円(税込)
住宅で世界を変えられるか? バイタリティに溢れ、バラエティに富んでいた70年代の日本の住宅。安藤忠雄氏や伊東豊雄氏など、いま世界的に活躍する建築家たちの若き日の住宅作品を、新たな撮り下ろし写真も含めて豊富なヴィジュアルで振り返る。野心溢れる当時の貴重な文章も再録。住宅という武器を手にした群雄割拠の下克上時代。

これから住宅(とくにマンション)は、60年代から70年代にかけてつくられたヴィンテージものが流行るんじゃないかな。

上野千鶴子『生き延びるための思想 ジェンダー平等の罠』岩波書店
2006年02月07日  2,520円(税込)
「男性並み」をめざすことで袋小路に陥ってしまったフェミニズムの思想的な落とし穴を明確に指摘し、国家暴力と対抗暴力とを問わず、男仕立ての「死ぬための思想」を根源的に批判する現代暴力論。人間らしくいきるために今何が問われなければならないかを明確に論じ、著者の多彩な活動を結節する注目の書。

上野千鶴子はケアの方に行ったと思いきや、こういう仕事もまだ続けていたのだね

ロバート・A・グーラ/著 山形浩生/訳
『論理で人をだます法(仮)』朝日新聞社
2006年02月07日  1,785円(税込)
「論理を学び、交渉力を磨けば、仕事も生活もうまくいく」。こんな本がちまたにあふれています。でも、ほんとにそうですか? 「論理的な正しさ」と「内容の正しさ」は実は無関係で、論理はいくらでも悪用することができます。優秀な政治家、セールスマン、コンサルタント、宗教家はこのことを無意識に知っており、日々「活用」しているのです。本書は米国の高校教師が、論理の「悪用のしかた」約150種類をまとめ、わかりやすく解説した本です。「論理力」「交渉力」好きなあなたに必読の本です。

詐欺師は必読。

井垣康弘『少年裁判官ノオト』日本評論社
2006年02月08日  1,680円(税込)
あのとき、井垣判事は、何を考えていたのか。少年A、被害者と加害者の和解、悩みながらの試行錯誤の日々をユーモラスに綴る。

裁判官の“ユーモア”というものを味わいたい(皮肉抜きで)。

マンハイム/著 徳永恂、高橋徹/訳 徳永恂/解説
イデオロギーユートピア中央公論新社
2006年02月10日  1,733円(税込)
ハンガリー生まれの知性によって書かれ、“存在被拘束性”という重要な概念を提起した知識社会学の古典

中公公論社、古典とか自社本の復刊とかだけやってればよかったのに。

島田裕巳『宗教としてのバブル』ソフトバンククリエィティブ
2006年02月中旬  735円(税込)
バブルを1つの宗教ととらえた画期的社会論。バブルは単なる経済現象としての側面だけでは語れない。社会現象であり、文化現象であり、さらには「土地神話」「株価神話」などに見られるように、信仰の対象でもある。ポストバブル的状況も含め、気鋭の社会宗教学者が宗教としてみたバブルを読み解く。

島田には、いまでも“気鋭の”という枕詞が必要なのか?

仁杉巌/監修 深澤義朗/著『新幹線保線ものがたり』山海堂
2006年02月中旬  2,625円(税込)
フランスのTGVに先駆けること十七年、世界で初めて時速200キロの営業運転を実現し、超高速鉄道として開業以来、事故による乗客の死傷者ゼロという記録を続ける東海道新幹線の約40年の足取りを保線の立場から振り返ります。現在の驚異的な、安全・安定輸送はどのような保線技術によって支えられているのか。保線屋の倫理というのはどのようなものなのか。この本には保線のすべてが書かれています。

「保線」というのが、たまらなくマニアックでいい。

アンナ・アルトレほか/著 山本規雄、藤田真理子/訳 『体位の文化史』作品社
2006年02月下旬  2,520円(税込)
フランスは「41手」、日本は「四十八手」、なんとインドは「六十四手」…。人類はその誕生から現在まで、日々の単調を打ち破り、快楽を広げ、想像力をかき立て、繁殖に励むために、ありとあらゆる「体位」を開発してきました。まさに今日の人類繁栄の基本となってものこそが「体位」なのです。インドの『ラティラハスヤ』(愛秘)、イスラムの『アナンガランガ』(愛壇)、中国の『色道知恵潤』『秘儀艶説枕筥』、欧州の『聖職者に捧げる愛の四十手』…。古今東西のせいの指南書を収集し、性枝の歴史を辿り、本書はクロマニヨン人から現代人に至るまで、全世界・全世紀を通じて人類が考え出し実践してきたすべての体位と性技を網羅した、世界で初めての体位の文化史です。

週刊文春」の書評欄で、立花隆大先生か鹿島茂先生のどちらかが必ず取り上げるはず。

伊藤真福島瑞穂『生きていくための憲法岩波書店
2006年02月22日  1,680円(税込)
拡がる格差、脅かされる日々の安全―不安と閉塞感が高まる中、憲法を今一度知ることで新しい活路が見出せるのでは? 子どもを育む、暴力をなくす、企業経営を透明化していく、高齢者や障害者の福祉を創り上げていくなど、日々のさまざまな場面に憲法はどのような力を持っているのかを、実例とともにわかりやすく若い世代に向けて語る。

福島サン、憲法問題よりもご自分の「生きていくための」方法をお考えになられてはどうでしょうか(ああそうか、自分が生きていくための護憲論か……とチャチャを入れたくなる私は、隠れ社民党ファン)。

M・フーコー/著 中村雄二郎/訳
『知の考古学 新装版』河出書房新社
2006年02月22日  3,675円(税込)
思考の秘められた場に出現するアルシーヴを分析し、アルケオロジー的訂正とは何かを示して、フーコーの方法論を提出した歴史的名著の復刊。没後20年を経て、ますます重要となっている思想家を読むために必読の古典。

出版界は、どんどん復刻ビジネスにシフトしていくのだろうなぁ……。

井上ひさし樋口陽一/編『「世界」憲法論文選 1946〜2005』岩波書店
2006年02月24日  2,100円(税込)
憲法アメリカに押し付けられた、9条は非現実的だ、個の尊重ばかりでわがまま勝手な社会になった…改憲論者の繰り返す改憲の理由は、実は60年の間に議論し尽されてきたものばかり。一貫して憲法を守る立場に立った雑誌「世界」は、それらをどう論じてきたか。改憲の声が高まる今、精選して贈る。
【主要執筆者】竹内好/長与善郎/我妻栄/ペアテ・シロタ・ゴードン/大内兵衛安部能成南原繁/山川均/恒藤恭/椎名麟三谷川徹三/上山春平/米倉明/矢内原忠雄家永三郎加藤周一/安倍知二/戒能通孝/高柳信/桑原武夫川島武宜/伊藤昇/阿部艶子/なだいなだ/大江健三郎/福原歓一/水上勉宮澤俊義湯川秀樹丸山真男久野収/高柳賢三/憲法問題研究所/有田八郎鶴見和子大佛次郎大田昌秀池明観小田実坂本義和小林直樹日高六郎鯨岡兵輔隅谷三喜男辺見庸

「世界」論文選シリーズ、どんどん出してくれぃ。