ブックセンター滝山グループ

いま発売中の「週刊現代*1で、原武史さんが「リレー読書日記」で、滝山団地を訪れている。
原さんは本文で触れていないが、「珍来」「パチンコトーヨー」のほかに「ブックセンター滝山」にも入った。ぱっとみた感じでは、80年代末ごろ、いわゆる「郊外」にできた書店のようだ。創業したのはもっと早くかもしれないが、建物の外観からして昭和という時代が終わりを迎えるか迎えないかという頃につくられた印象を私は覚えた。
ただ90年代後半からバカスカできた「ロードサイド」*2型の書店とは違う。ちょっとダサイというと語弊があるか。目立った違いといえば、エロ本やレディコミが大量にあるかないか*3。そして、大書店だと目に入ってこない専門誌が充実しているようにみえるのが「郊外」型書店である。


この店先で「発行部数48,000部」!の「ブックセンター滝山グループ けやき新聞」第55号を私は貰った。「毎月20日」だそうだから、5年くらい前から出しはじめたのだろうか(この時代に、こういう新聞を書店が出すというのが意外。それも5万部近く刷っているなんて)。
1面には、市野みちという東久留米市在住*4の作家のエッセイと本紹介、2面も本紹介。


この「ブックセンター滝山グループ」というのは、こういうグループらしいhttp://www3.ocn.ne.jp/~bct/ 名前からして某団体関係かしらと思ったのだけれども。なんと本店は、千代田区麹町。ただ、「滝山グループ」と冠しているのだから、この地がグループ創業の地なのだろう。


この書店チェーンが、他の「郊外」型のチェーンと違うのは、「ブックセンター滝山グループフェア情報」という欄をみれば、わかる。「麹町本店」では、6月から7月末まで「東京大学アカデミックグルーブフェア」「洋書(ペーパーバック)フェア」を開催していたというのだから。いまどき(いや、昔だって)、こういうフェアを実施するのは、紀伊国屋三省堂などのチェーン店か、大学生協くらいではないか。「ブックセンター滝山」という名前からは、「郊外」型の書店という印象しか覚えないけれども、しかし、だ。棚をみていると、「郊外」型書店の矜持も感じるのである。
人は脳だけで生きていくにあらず。上半身だけで、頭だけで生きているわけではない。下半身でもモノを感じ考える。いわゆるオカタイ本も置いていないわけではない(きちんと原武史さんの『昭和天皇』も置いていた)。かといって、皮膚感覚の、理屈抜きで好きだというもの(鉄道関係、おもちゃ関係、クルマ関係etc)や下半身系(レディコミetc)も置いている。こういうところに、本屋の矜持を私は感じる。ショーバイしていかないと店を続けられないけれど、ショーバイだけでもない、という。
そういうショーバイを抜きにしてしまったら、ウソだ(カスミを喰ってなさいよ)。でも、ショーバイだけだと味もそっけもない(株屋でもやってくださいな)。


新刊書店の数が減少しているといわれて久しいが、まだこういう本屋も残っている。そうそう、この前行った、「一度は食べるべきカレー屋」と或る方からいわれた町にも、本屋があった。
本屋、喫茶店(カフェにあらず)、カレー屋、とんかつ屋、そば屋が、まちのレベルをあらわすように思うのだが、どうだろう。酔いがまわってきたので、このへんで。

*1:あの塩山芳明さんhttp://www.linkclub.or.jp/~mangaya/nikkann.htmlが、福田和也さんのインタビューを受けている

*2:「ロードサイド」と「郊外」は違う。「街」と「町」が違うように。ただ、この違いは郊外居住者にしかわからないかもしれない。

*3:新しい「ロードサイド」には、そういうイロモノは、決して多くない

*4:あの福満しげゆき先生の単行本も「東久留米の作家」コーナーにあった