来栖けい

来栖けいの本を、いまさら読む(で、何で知ったのかきっかけを全然思い出せない。ボケがはじまった? いや記憶力がよくないのは、いまにはじまった話ではない)
『批評の事情』『新・批評の事情』にも取り上げていない*1けれど、来栖けいは凄い。
『美食の王様』(筑摩書房)の「まえがき」の一節を抜き出すと

この世に生をうけてまる25年。人としてみればまだまだ未熟です。しかしそんな私にも、人には絶対に負けない、と思うことが1つだけあります。それはすなわち「食べること」。

誤解のないように言っておきますが、私は他人からの援助は一切受けていません。自分のお金で食べてこそのおいしさだと思っています。私は運よく、その点もクリアすることができました。「舌」、「胃袋」、「お金」、この3つがうまく噛み合ったゆえに、「食べること」にすべてをつぎ込んでこられたのです。

私は、お店、食べた料理についてのコメントは、行ってから最低三ヶ月は書きません。食べた直後には「おいしい」と思っても、時間を経つとあまり思い出せないものが、けっこうあるからです。そのようなお店、料理は本当においしい、とはいえないのです。本当においしいお店、料理は、3ヶ月後はもちろんのこと、4、5年経っても鮮明に覚えています。自分の舌の記憶と、その時に書いた簡単なメモを頼りに厳しい基準をクリアしたお店だけが残ります。

ねっ、スゴイでしょ? ああ、なんでいままでこの人の本を読まずにきたんだ。

*1:なんで取り上げなかったんだろう?