ジュンク堂書店新宿店リニューアルについて

いままでのジュンク堂新宿店は、ジュンクっぽくなかった*1。って新宿の他に、池袋以外はほとんど行ったことがないのだけれど。
ジュンク堂に行くの(だけ)が目的で行く」のが、池袋本店。一方、新宿店は、「用事のついでにちょっと寄ってみようか」という感じ(あくまで、私にとっては、だ)。
ジュンクの他に紀伊国屋書店2店あわせて新宿の3大書店、品数についてはそれほど遜色がなかった(ような印象だった)。で、文芸書も人文書も充実しているのが紀伊国屋新宿本店、コミックをはじめ若者向けの雰囲気をうまく出しているのが新宿南店。
その2店に比べると、新宿ジュンクは特色があまりなかった。ルミネの中のブックファーストのように遅くまであいているわけでもないし……。


以下はあくまでも私の想像だけれども…。会議でこういう話が繰り広げられたんじゃないかな*2
ジュンク堂らしさって何か?「専門書に強い書店」「図書館のような書店」「探している本がここには必ずある(と思わせる)書店」…。お客さんが感じている「ジュンク堂らしさ」を徹底的に打ち出そう。平台はほとんど置かない。効率よく本を置けるように、背の高い本棚をこれでもかこれでもかってくらいに並べようじゃないか。
■ただ、それだと池袋本店とは差別化が図れない。だから、棚で差別化を図る。たとえば、「反戦平和」とか、いままでの書店ではなかったようなジャンルの棚をつくろう。
■池袋本店のように、目ぼしい新刊を一箇所に集めることはしない。ああいうコーナーをつくってしまうと、「そこ」だけにしか行かないでしょう。だから、本を徹底的に散らす。池袋と違った意味で、散らす。同じ本をいろんな場所に置くってやりかたじゃない。同じ本は、一箇所にあればいい(池袋くらいスペースがあればいいけれど、新宿だとちょっとね。池袋は全フロアまわるのは結構大変だけど、新宿なら全フロアまわろうと思えばまわれるし)。どうしても欲しい人は検索機を使って、本のある場所に行くでしょう、そのときに探している本だけじゃなくて、まわりの棚も見て……。
■また、雑誌やコミックは、最上階に持っていこう。雑誌やコミックが目あてのお客さんは、7階にしか来なかった。8階まで行かないで帰っていた。
とりあえず、彼/彼女たちに8階まで来てもらうようにしよう。デート中に寄るカップルには、8階まで来てもらう。8階まで来て、帰りのエスカレーターで――「あっ、そういえばレポートで…」とか「授業で先生が薦めていた本が…」とかって思うかもしれない。わざわざその本を買う気はないけれど、せっかくジュンクに来たんだから、ちょっと見るだけ見てみるか……って気になるかもしれないじゃない?
■いままでのジュンク堂書店ではやらなかったような「売れる本をもっと売る」という売り方を、もっとやっていこう。エスカレーター前の棚、全面に同じ本置いておくと、物凄いインパクトがあるでしょ。たとえば、ここに『華麗なる一族』全3巻とか映画化、ドラマ化原作本を全面展開する。すると、普段本を読まないような人が、カップルが、つい買っちゃうかもしれないじゃない? そういうちょっとした仕掛けもしていこう。


まだ、どたばたしていて、棚がきちんと整理されていなかったり、あいているスペースが結構あったりするけれど、2、3ヶ月かそれ以上すれば、かなり面白い書店になるのではないかと思う。いまのところ、雰囲気はアレだけど、新宿伊勢丹のようにリニューアルが成功すれば、面白い。

*1:その理由のひとつは、池袋本店との差別化を図ったことにあると思う。このあたりは田口久美子『書店繁盛記』(ポプラ社)に詳しい

*2:まぁ私が想像しているより、はるかに具体的で、実用的で、お客さんにとっては面白い書店にしようという戦略が練られたのでしょうが