3月発売予定の本
■文芸 小説
『ちぇりあい ちぇりーぼーいあいでんてぃてぃ』戸梶圭太
祥伝社 3月10日 1,575円
●童貞からしか検出できない、不老不死を可能にする謎の脳内物質をめぐり、オタク童貞争奪戦が始まった。
この小説も読みたいけれど、みうらじゅん先生や「萌える男」の本田透の書評も読みたい。
『ぜつぼう』本谷有希子
講談社 3月20日 1,470円
●売れなくなった芸人の絶望の人生。希望よりも絶望することの方が生きる力に溢れているという人間の性を描く話題作。
そういや、『芸人失格』の著者、ABブラザーズの売れなかった方(中山ヒデじゃない方)はどうなったんだろうか。
『越境陀羅尼』佐藤トモヒサ
講談社 3月1日 1,890円
●超大型新人登場。タイを舞台とした村建設をめぐる「在」と「流民系」の抗争。日本脱出と回帰への苦痛に満ちた戦いを描く。
「超大型新人」って、野球選手じゃないんだから。
『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん
文藝春秋 3月下旬 1,680円
●東京のはずれに位置する「まほろ市」の駅前にある便利屋「多田便利軒」に舞いこむ依頼はどこかきな臭い。多田と行天コンビの魅力満点。
これ、次回の直木賞の候補作になるはず(「別冊文藝春秋」で連載されたものだから)。
■文芸 エッセイ、評論
『月曜日は最悪だとみんなは言うけれど』村上春樹
中央公論新社 3月10日 1,050円
カーヴァーと編集者の確執とは。アメリカ文学に関する記事のほか、愛好する作家のエッセイや短篇を集めた村上春樹のスクラップ・ブック。
今年、中央公論新社から、現代思想モノの全集が出るというウワサが。それに備えて、村上春樹翻訳ライブラリーを出しているのではないか。
『四谷シモン大全(仮)』四谷シモン
学習研究社 3月17日 2,940円
人形作家・四谷シモンのエッセイ・小説・詩を集成。『シモンのシモン』『機械仕掛けの神』ほか、未収録分を網羅。
どうした、学研? 河出書房化する気なのか。
『本を旅する』出久根達郎
河出書房新社 3月20日 1,680円
●与謝野晶子と誤植、一葉と妹、ボースと中村屋夫妻、薬言家・生方敏郎、藤村操幻の書「煩悶記」など。好評の「中日・東京新聞」連載エッセイ。
『中野翠自選ベストコラム集』中野翠
毎日新聞社 3月下旬 1,680円
85年から「サンデー毎日」での連載が続く人気コラムの中から、著者自身が厳選して贈るベストコラム集。
■新書
『「日本の私」をやり直す』長山靖生
中央公論新社(中公新書ラクレ) 3月10日 756円
●若者たちが地べたに坐るのは、平安時代以来の生活習慣だった。など、著者独自のおたく的知性が説き明かす、本当の「日本の私」論。
「おたく的知性」っていい言葉だ。
『原子力と環境』中村政雄
中央公論新社(ラクレ)3月10日 756円
●グリーンピース闘士の「転向」から論を起こし、環境問題を独自の「過密社会」論に位置づけ、その未来の姿を的確に説いた秀作。
『つきあいきれない韓国人』渡部昌平
中央公論新社(ラクレ)3月10日 735円
●「嫌韓流」「韓流」を超える真実。元大使館員が、人づきあいから交渉スタイルまでの「壁」を指摘。対立とすれ違いの背景を解説する。
読売新聞傘下だからこそ、正力松太郎から話を進め、読売新聞社が原発推進を進めてきた過去の姿を的確に描いた秀作『原子力と正力』、元読売新聞社員が、人づきあいから交渉スタイルまでの「壁」を指摘、対立とすれ違いの背景を解説する『つきあいきれない渡辺恒雄』を出して欲しい。
『態度が悪くてすみません 内なる「他者」との出会い』内田樹
角川書店 3月10日 680円
●現代思想界の旗手が、自分の内なる「他者性」と「未知」と向き合い、時空間での自己マッピング力を身に付けることの重要性を説く。
『ニッポン不公正社会』斎藤貴男/林信吾
平凡社 3月10日 777円
●いま、日本は格差を固定する不公正社会にされようとしている。世間にはびこるイカサマな構造を徹底的に告発する、渾身の対談本。
斎藤貴男さんは、本は毎回「渾身」。。。
『秘密結社の世界史』海野弘
平凡社 3月10日 819円
●フリーメーソン、イルミナティ、薔薇十字団といった馴染みのものから現代のテロ組織まで、秘密結社を通して世界史を読みなおす試み。
フリーメーソンはともかく、イルミナティや薔薇十字団が「馴染みもの」って…ウゥム。
『ルーツを探す』丹羽基二
光文社 3月17日 735円
●自分のルーツを知りたいが、家系図がないという人に向け、本書は自分のルーツ探しに成功した人々を取材し、彼らのノウハウを伝授。
苗字に藤の字がつく人は「藤原氏の末裔」と自慢する場合が結構ある。
『男女交際進化論 「情交」か「肉交」か』中村隆文
集英社 3月17日 735円
●男女の交際は、明治の時代には大変な難物だった。ジャーナリスト、教育者はもちろん、哲学者まで巻き込んでの大論争で「男女交際」はどうなったか。
「『情交』か『肉交』か」って……。タイトルだけで買うわ。
『団塊ひとりぼっち』山口文憲
文藝春秋 3月20日 788円
●戦後民主主義の洗礼を浴び、運動をソーカツし、旅や消費に明け暮れた世代。これがマコトの団塊世代か。エピソード満載の世代論。
講談社のPR誌「本」には原武史「鉄道ひとつばなし」あり、そして文春のPR誌「本の話」に山口文憲「団塊ひとりぼっち」ありと言われた(といっているのは私だけ?)あの連載がついに新書になるのか。
『「悪所」の民俗誌 色町・芝居町のトポロジー』沖浦和光
文藝春秋 3月20日 861円
●本来、この国は一夫一婦多妾制。都市の盛り場は雑種賤民が主役の呪力が宿る場所だった。悪、遊、色から腑分けする「もう一つの日本」。
『日本人の遺訓』桶谷秀昭
文藝春秋 3月20日 767円
●神話の時代から現代まで、文人や武士、思想家など、さまざまな日本人が遺した最期の言葉から、2,000年におよぶ日本人の精神史を描破する。
文春新書、こんなにシブくて、大丈夫?
『華族 近代日本貴族の虚像と実像』小田部雄次
中央公論新社 3月25日 819円
●旧公卿・大名、維新功労者などから選ばれた華族。多くの特権を持ち、政治経済、文化をリードした「恵まれた」1,011家の実像とは。
1011家の実像を新書で描けるのか。
■社会
『論理で人をだます法(仮)』ロバート・A・グーラ著/山形浩生訳
朝日新聞社 3月7日 1,785円
●西洋では「論理は悪用されるもの」というのが常識。約150種類の「悪用のしかた」をまとめたこの本で自己防衛を。
朝日新聞記者諸氏は、この本で自己防衛を。
『小沢一郎 政権奪取論』五百旗頭真著/伊藤元重編
朝日新聞社 3月7日 1,365円
●自民党の実力者から反自民政権樹立の立役者へ、小沢一郎が、田中角栄や竹下登、金丸信との関係、細川政権誕生秘話を語る。
この時期に「政権奪取論」といわれても。
『憲法九条をていねいに考える(仮)』内田樹/小田島隆
毎日新聞社 3月下旬 1,365円
●超人気哲学者と知の刺客たちが改憲論にもの申す。戦後繰り返される論戦を根本からひっくり返す、新しい9条論集。
「態度が悪い」(角川ONEテーマ21)の内田はともかく、小田島隆が「ていねいに考える」の?