今年でる(かもしれない)本
毎年、「出版ニュース」2006年1月上・中旬合併号には、「アンケート 今年の執筆予定」が掲載される。今年は総計178氏が回答し、その中から、私が気になったものをピックアップした。
●松本健一
ビジュアル版『街道をゆく』全巻解説が三月までつづきます。今年は、それを一冊にします。(朝日新聞社)。
それに、『三島由紀夫と戦後日本』(朝日カルチャーの講義を五月書房から)。春には『「泥の文明」の世紀』の書き下ろしが新潮社から出るでしょう。
●長山靖生
今年は春頃には『若者は変わったのか?』(中公新書ラクレ、仮題9という日本人論・若者論を、秋には新潮新書から大正時代のモダニズム、デモクラシーの裏面史を眺めるものを刊行できたら…・・・と思っています(さて、書き上げられるかどうか)。
●呉智英
雑誌連載中のものが単行本になります。
○『マンガ狂につける薬Ⅲ』(メディアファクトリー)
●武藤康史
●仲正昌樹
二月頃にビジネス社より、松本清張についての準研究書的なものを刊行予定。現在、脱二項対立的な「批評」の可能性と、ドイツ・ロマン派のアイロニー理論を絡めて論じた新書を執筆仲。その後、日本とドイツの戦前の思想を比較する新書にもとりかかる予定。他にこれまでのエッセイ的な文章をまとめた短い本も。
●海野弘
○本についてのエッセイ集(ポプラ社)
○『秘密結社の世界史』(平凡社新書)
いま書いているのは『セレブの文化』(文春新書)で、その後、『二十世紀』(文藝春秋)、『自著百冊の回想』(右文書院)の予定ですが、今年中に書けるかどうか。
●出口裕弘
経緯は省略するとして、ここ数ヶ月、坂口安吾をめぐる長編エッセイを書いてきました。もう一息で終了です。発表の形は文芸雑誌への一挙掲載となる予定。〔中略〕
そのあとの仕事も実はもう決まっていて、新書で東京のことを書きます。具体的には地下鉄ですね。僕としては銀座線がいちばん好きなのですがそうばかりも言っていられません。地下鉄網もここまで来れば東京という巨大都市を読み解く大きな鍵になります。乗りつくしから始めることになるでしょう。
●御厨貴
単著としての予定は『田中角栄』『天皇の近代』『戦後史』『現代政治の領分』『昭和天皇』、それに『小泉政権をはかる』・・・と目白おしである。
●小谷野敦
●佐藤卓己
まずは竹内洋先生を中心とした共同研究の成果として、『日本主義的教養の時代――大学批判の古層』(仮題)柏書房が出ます。昨年『京都新聞』に連載したコラムも手直しして新書化する予定です。
前半の大きな仕事はNTT出版のシリーズ「日本の<現代>」の1冊である『テレビ立国日本の戦略』です。
○『マンガと人生(仮)』(牧野出版)
○題未定、浦沢直樹インタビュー構成(ちくま新書)
○『マンガのはまり方』竹宮恵子氏対談(筑摩書房)
●原武史
①「滝山コミューン1974」(『群像』)
②『鉄道ひとつばなし2』(講談社現代新書)
③「『視覚的支配』と『時間支配』――近代天皇制の支配をめぐる覚書」(『本』)
④昭和天皇、松本清張の研究
●平岡正明
●井上章一
ひとつは全体主義と建築の関係をさぐったもの。ヒトラーやムソリーニ、そして毛沢東らの建築を、『建築はうったえる』で論じます(文藝春秋)。
あとひとつは、伊勢神宮論。建築の始源を幻視する。その系譜を、江戸期からおいかけてみました。タイトルは未定(講談社)