上原隆『雨の日と月曜日は』新潮文庫

雨の日と月曜日は (新潮文庫)

雨の日と月曜日は (新潮文庫)

「ファイブ・イージー・ピーセス」

 映画のような、といっても、私の書くものはハリウッド映画ではなく、八ミリ映画だと思っている。
 カタカタと映写機の音がして、白い壁に映し出される映像は、画質が粗く、動きがぎこちない。映っているものといえば、旅行先の家族や、自分の部屋や、原っぱを走りまわる犬といったたわいのないものばかりだ。なぜかそのたわいもないものが胸に迫る。八ミリ映画は切ない。
 その切なさが私の文章にも宿っていることを願う。

この本を読んでいて、穂村弘の文章好きな若い人は、上原隆の文章もきっと気にいるだろうな、と改めて思った。